リューコ記憶接続シエル・リズアットエピソード

※画像をタップするとキャラクターの詳細へアクセスされます

※画像をタップするとキャラクターの詳細へアクセスされます

目が覚める。


ハッとして


ボクは目が覚める。



ファウスト「……………。」



彼女とはなんだ?


わからない…。


でも…ただそれだけが。


ボクを突き動かした。



?「目が覚めたか?ねぼすけ野郎」



声が聞こえたその先に視線を向ける。


誰もいない。


でも…なにかいる。


見えないのに何者かがボクを呼び、対話を求めている。真っ黒な空間にモヤがかかった感じで、何者かが見ている。



ファウスト「…お前は誰だ?」



ボクは何者かに話しかけた。


何者かは淡々と話しかける。



?「お前は何度目だ?何度目の…。」



いっている意味がまったくわからない。



ファウスト「…言っていることがわからない。」



?「お前は世界を救うために仲間を集めている。」



ファウスト「仲間…」



?「記憶の処理が追い付かなくなってるだけだから、安心しろ。」



ファウスト「………。」



?「ほら…モタモタしてる暇はないぞ。」



ファウスト「……そうだったね。…もう一人のぼく。」



そうだ…。


僕は…あの子を仲間にしなきゃ。



ファウスト「…一面真っ白だ。」



はぁ…と白い息が出る。



全てが氷におおわれた世界。


僕はここにいる特異点と接触し仲間になってもらうためにきたつもりだった。


しかし…異様な光景を目にする。



この世界でなにがあったのか?


人々が氷漬けになってる。


生存者ゼロ。


氷付けになっている人に触れる。



ファウスト「記憶…検索。」



これは触れた対象者の記憶を見ることが可能だ。


また長時間触れていれば更に過去も読み取れる。



大きな龍?なるほど…。


氷の龍…クリスタルブリザードドラゴン…か。


その龍によってこの世界は氷漬けに…。



さらに記憶をたどる。



そうか…


その龍は…人の姿にもなれたのか。


何かあって龍になり世界を氷の世界に変えてしまったと…。



ファウスト「………情報提供を感謝する。」


(何にしても…自分の…目で確かめる。それが一番早い。)



ボクはその龍のいる場所に足を歩ませる。


龍がいる場所に近づくたびに吹雪は強まる。 



ファウスト「…………っ。」


(冷たい。でも…ボクには星の管理者としての加護がある。この程度は耐えられる。)



猛吹雪の中、龍は孤独にそこにいた。


その姿は大きく、白く、氷を纏う白銀の翼。


キラキラとしていて美しい。



ファウスト「…これが…ぁ…」



龍はこちらに気がつく。


ギロリとこちらに目をやる。



ドクン…



瞬間に視界が凍てつく。



視界が白く染まり視界がブラックアウト。



ハッと目を覚ます。



ファウスト「ボクは死んだのか。」



?「ああ。お前は死んでしまったでも、お前は私がいる限り死なない。もう一度続きから行け。」



ファウスト「…続きから…?」



ボクは視界が歪み


瞳をゆっくりとじる。



まだ記憶がうっすらと覚えてる。


ここは氷の世界…。


そして今。



ボクは。


目が覚めると目の前には…あの龍がいる。



クリスタルブリザードドラゴン「……貴様…。なぜ死なない…。」



ボクは何度も何度も死んだ。


やり直し繰り返される。


記憶は覚醒し、やがて龍との対話を試みる。



ファウスト「随分…苦しそうだ。君は。」



クリスタルブリザードドラゴン「…………。」



龍は、ボクの顔をギロッと睨みつけるが…何回も死んでいればその姿でも慣れてしまう。


怯まずに言葉を交わした。



ファウスト「残念だけど。君は僕を殺せない。」



クリスタルブリザードドラゴン「…ほざけ。人間。貴様は何しにここへ来た。」



ファウスト「君を導きに来たんだよ。」



クリスタルブリザードドラゴン「…凍てつけ。」



大きな氷の翼で絶氷の吹雪をぶつける。



ヒョオオオオオオッ!!!



また死んだ。


でも…。


ボクは前に進まなければならない。



ザッザッ…



クリスタルブリザードドラゴン「…………お前…人間じゃないのか。」



ファウスト「人間……。だったころもあったよ。…多分だけどね……もういいや。君さ?ボクに手を貸してくれないか?」



クリスタルブリザードドラゴン「………。」



ファウスト「ボクの記憶は曖昧で過去のことがもうなんなのか…忘れてしまった。でも…ある使命をボクは担っている。全うしなければならない。この先の絶望をとめるために。だから、ボクは君を負かして…ボクの言うとおりにしてもらう。そして…君を救うためにも…負けられない。」



クリスタルブリザードドラゴン「私を…救う…?…知ったような口を聞くな!!!」



ヒョオオオオオオ!!!


ものすごい勢いで吹雪が吹き荒れる。



ファウスト「君には!幸せになる権利がある!」



クリスタルブリザードドラゴン「…ざれごと…もう何もかもが終わったこの世界で何が残されているというんだ!!!貴様には…やはり…死んでもらう!目障りだからな!!!」



ボクと龍の戦いが始まる。



ファウスト「っ!!!」



クリスタルブリザードドラゴン「アブソリュート!!!!」



ヒョオオオオオオ!!!



ボクは戦った。


戦って戦って戦って戦って…戦い続けて死んでまたやり直し繰り返される。


死ねば死ぬほどその龍の攻撃が読めてくる。


一撃、ニ撃がとても強力で即死している。


でも…心臓は止まらない。


ボクの心臓が止まる時はボクが諦めた時だ。


とはいえ…痛覚はある。


血だらけだ。



ファウスト「うっ…ごぱぁっ…」



勢い良く血反吐を撒き散らして復活する。



ファウスト「ぐっ…ぅうう!!」


(ああ…痛い。…ああ…冷たい。)



ファウスト「生き地獄とはこの事か…?」



だんだん感情がわからなくなってきた。


 


ファウスト「ボクは…君が…っ…必要なんだ…。」



クリスタルブリザードドラゴン「しつこい!いい加減に死んでしまえ!!!」



口を大きくあけ絶対零度のブレス、アブソリュートを放とうとしている。



ファウスト「……あ…き…らめ……られない。」


(君が諦めるまで何度も何度も何度も…。)



クリスタルブリザードドラゴン「死ねぇえええ!!!」



キィィィィィィィィィィンッ!!!


その光は収束し放たれる。



ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!



大地を揺るがすほどの攻撃。


世界も氷漬けになっているのも…


きっとこの攻撃によるものだろう…。


凄まじい威力だ…。



ファウスト「……………。」



ザッザッ…



クリスタルブリザードドラゴン「…………っ!!!?」



ファウスト「…諦めきれないんだよ…言っただろ…。」



俺は耐え抜いた。



クリスタルブリザードドラゴン「……貴様…っ…。」



ファウスト「君は…龍でありながら…人間にもなれたみたいじゃないか?一体…あの街で…何が…あったんだ?」



唐突にボクは龍に問いかけた。


しかし返答はもちろん…。



クリスタルブリザードドラゴン「お前に話すことなどない!滅びろ!!!」



ヒョオオオオオオ!!!



氷の礫がボクの頭を撃ち抜く


即死だった。


そしてまた…ボクは起きる。



ファウスト「…話など通じないか。」



クリスタルブリザードドラゴン「お前は…なんなんだ…。確かに殺したはずだ。なぜ…何度もよみがえる…。」



ファウスト「言ったでしょ?ボクにはやらなきゃならないことがあるんだ。でもね…それと同時に君にも幸せになってもらいたいんだ。」



クリスタルブリザードドラゴン「………。」



ファウスト「君には幸せになる権利がある」



クリスタルブリザードドラゴン「貴様に我の何がわかるというのだ…。貴様に我の苦しみが悲しみが!!!仲良くしていた友をこの手で…殺めてしまった…。私に幸せになる権利だと…。私はこの力に負けたのだ。私は…人間を愛していた…。私のに幸せになる権利などあるわけがないだろう!!!」



ファウスト「君は…それ程までに人を愛せた優しい龍にだったんだね。通りで…町の人達からは怒などの感情が無かったんだね。」



クリスタルブリザードドラゴン「何を戯れ言を!!!ぬあああああああああああっ!!!」



大きな鉤爪をボクに向けて振り下ろす。


飛び散る血しぶき真っ白な雪は赤く染まる…。


しかし…。


ボクは何事もなかったかのように復活する。



ファウスト「無駄だよ。君が何度も何度もボクを攻撃して殺そうとしても…ボクは何度でも甦る。ボクは君が諦めるまで何度でも戦う。ボクには使命があるから。」



クリスタルブリザードドラゴン「…………いいだろう…お前を殺して…今度こそ私は龍としてこの世界と死んでいく!!!邪魔はさせない!!!決着をつけてやる!!!」



先程よりも格段に威力と素早さが向上している。



ファウスト「…かかってこい!!!どちらの信念が上か…上等だ!!!」



ボクと龍は戦い続けた。


何度も死んで何度も繰り返して。


それこそ死にたくなるような…痛みが全身を襲う。


もう逃げたい…助けてくれ…どうしてこんな事…しなくちゃいけないんだ!


けど…たった一つボクの意志を消えないように壊れないように引き止めてくれているものがあった。


何も見えないのになぜか底にいて側で一緒に戦ってくれる。



???「…この子を救ってあげて。貴方なら出来るわ。」



ファウスト「……うおおおおおおお!!!!」



猛り狂ったように戦いを続けた。



リューコ「…………。」


リューコに幸せになる権利なんてない。


リューコは友達を殺したんだ。


それなのに幸せになる?


ふざけている。


リューコが犯した罪は決して忘れちゃいけないんだ。



だからリューコは…殺した友のためにもリューコはここで孤独という罪を背負っていかなきゃならないんだ!!!!!!!!


よそ者が口をはさんでいいことじゃない!


何度も繰り返して何度も繰り返しリューコが何度だってお前を殺し尽くしてやる!!



リューコ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



まずは凍らせた。でも…効かない。切り裂いても…潰しても…生きている。


なぜ…なんだ。


お前は…リューコに…何を望む。



ファウスト「…………っ」


(ボクが君に望むことは…2つ!)



リューコ「………っ!?」


(…心を読まれただとっ!?)



ファウスト「ボクが君に望むことは君の力と君の幸せだ!」



リューコ「っ!!!ほざけ!!!お前に何が出来る!!」



ファウスト「…ボクには君を幸せには出来ない。けど…君の人生をやり直させることが出来ると言ったら?」



リューコ「なに…。」



ファウスト「君もボクと戦ってわかったはずだ。ボクは人間であり人間じゃない。この世界とは別の世界で生まれ、生まれ変わったもの。」



リューコ「お前は…一体…。」



ファウスト「ボクには使命がある。そして…不幸な結末を迎えた者達を救いたい。…ただそれだけだ。」



リューコ「なら…私を負かして。まだまだ余力は尽きぬ…私を黙らせ、私に絶望を与えてみよ。いくつもの死をその身に刻むがいい。私は…私の意思でこの場に立つ理由がある。どうしてもというのならば…。この私を殺してみろ!!!!」



ファウスト「…いや…殺すのは君の中にいる龍だ。…本当の君を救って…ボク自身の使命を果たす!!!絶対に!!!」



瞬間。


僕たちは互いに譲れぬ思いを糧に戦い続ける。


本気と本気のぶつかり合い。


世界が揺れる。



リューコ「凍てつけええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」



豪風と氷柱が混じったような攻撃。


ボクは吹き飛ばされて氷柱に突き刺さる。


けれど…。


巻き戻されるかのようにその事象がなくなる。


その繰り返し。


まだまだ戦いは続く。


互いの思いの炎が尽きぬまで。



リューコ「リューコは負けちゃいけないんだ。リューコは!リューコはあああああああああああ!!!」



高エネルギーを関知する。


ブレスが来る…。



リューコ「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



瞬間に放たれた一撃


ボクは直撃し凍てつきくだけ散る。




ファウスト「……………っ!!!」


終わらせない。


体は巻き戻る。



リューコ「くそがあああああああああああああ!!!巨大な尻尾を振り落としボクはつぶれる。」



ファウスト「…………。」


(でも…まだ。)



リューコ「なん…なんだ!…なんなんだよっ!!!!いい加減に…死んでしまえ!!!」



ファウスト「何度でも……言ってやる…。」



リューコ「…っ!!!」  



ファウスト「…言ったよね。ボクはボクのやらなきゃならないことがある。そのためには君が必要だってね。ボクはまだ折れないよ。折れるわけにはいかないんだ。君が本気で罪の意識と向き合うために、この場所に立っているのと同じ位の意思の強さで。ボクも負けるわけにはいかないんだ!!!!!!!!」



リューコ「うおおおおおおお!!!」


(こいつは…本当に…本当に…。リューコと本気で…。惑わされるな!リューコは…この場所にたつことが…)



???「リューコちゃん…。」



リューコ「…っ!?!?…貴様ぁ!!何をした!」


(なんだこれ…頭に…。)



 リューコ「ぁ…”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!?」


(…まさか…この…記憶……。)



ファウスト「記憶復元(リストレーション)」



光がボクと彼女を包み込む。



リューコ「……………。」


(これは…アタシの…記憶…。)



ファウスト「消えた過去の復元。ボクだってなにも出来なかったんだよ このボクになるまではね。君を恨む人なんていなかったんだよ。だから…もう…いいんだよ。君はとても優しい龍だった。氷付けにされていた人たちはもう戻らない。でも…その人たちの記憶には確かに君がいたんだよ。君との楽しい日々を望んだ人たち。その気持ちは今も消えていなかった。」


(彼女との戦いでボクは何度も…殺された。しかしそれは彼女に触れて彼女…リューコを知るため。ちょっとずつ吸収しつつ読み解いた。たどり着いたのが今ここだ。)



リューコ「リューコは…皆に…酷いことを…したんだ…。


リューコのことを受け入れてくれた。リューコは…嬉しかったんだ…。愛…していた…。ドラゴンだからとか人間だからとか…関係なく優しくしてくれた。いつか…人とドラゴンが手と手を取り合う世界にと夢見ていた…。


リューコは…ドラゴンの力に飲み込まれて…。たくさんたくさん…殺したんだ…。それなのに…どうして…。幸せになる権利なんてないに決まってるじゃない!!!!…リューコは……っ…。」



-リューコの記憶-



私がまだ龍として産まれてまもない頃


怪我をしたことがあった。


その時出会った人間に助けられた。


その人間はシエルという女だった。


シエルは変わったやつだった。


龍としてのリューコを見ても怖がらなかった。


それどころかすごく心配してくれた。



シエル「凄い傷…大丈夫?痛く…ない?」



リューコ「いや…痛い…。お前は人の子か…。我がこわくないのか…。」



※喋り方が我なのは…父を真似ているだけ。



シエル「こわくないといえば嘘になっちゃうけど…。凄い怪我してるし…辛そうだったから。」



リューコ「…変わったやつだな。我もまさか人間という下等な種族に看病してもらうなど…情けない話だ。」



シエル「下等なんかじゃないよ。皆…きっとそれぞれが個性を持ってるその個性によってまた変わってくるよ。」



リューコ「そうゆうものなのか…。」



私はシエルといつの間にか仲良くなっていた。



龍の姿で空の旅を一緒に楽しむ。


冷たい風。


私はシエルを心配した。



リューコ「シエル大丈夫か?」



シエル「うん!大丈夫!」



シエルはにこりと楽しそうだ。


その笑顔を見てリューコは安心する。



リューコ「………」


(ああ…楽しいな。…誰かといるって何て幸せなんだろう。)



龍としてのリューコは孤独そのものだった。


父はいたが、父はリューコを突き放すように構ってくれなかった。



シエルは違った。


シエルだけはリューコのことを思ってくれた。


リューコの…友達。



このリューコという名もシエルがくれた。



シエル「ねぇ?あなたは名前はないの?」



リューコ「ない。我はクリスタルブリザードドラゴン。ただそれだけだ。」



シエル「そうなの?なら私がつけてあげる!」



リューコ「シエルが?」



シエル「うん!可愛いのがいいよね!あなた女の子でしょ!」



リューコ「わかるのか?」



シエル「当たり前じゃない!私の女の勘がビビッときてるもの!」



リューコ「なんだそれは?」



シエル「まぁ!細かいことはいいの!あなたの名前は今からリューコ!」



リューコ「リューコ…。なんだか適当だな。」



シエル「そんなことないよ!龍の子だから…リューコ!!!」



リューコ「すごく適当じゃないか。」



シエル「もー!いいから!今からあなたのなまえはー…。」



そんなこともあった。


シエルとの時間はリューコを幸せにしてくれた。


人間とドラコンの寿命は圧倒的だ。


わかっていたことだ。


でも…。


こんな形でシエルを殺すなんて思いもしなかった。


最悪なタイミング。


絶氷龍クリスタルブリザードドラゴンに覚醒したリューコは暴走。世界を氷の世界に変えてしまう。



-シエルの欠片-



私はどこにでもいる


ふつうの女の子


シエルちゃん。


どこにでもはいないけれど…。


今日は森を探検!



シエル「あれ?なにかいる…?大きな翼に大きな尻尾…大きい口…鋭い牙…。」


(真っ白な鱗でキラキラしてる…。綺麗…。)



私は見とれてしまう。



シエル「綺麗…。」



でも…その子は一向に動かない…。



シエル「……………。」


(どうしたんだろう…少しこわいけど…勇気を出して茂みから飛び出す。)



シエル「よっ…と…。え……。」


(動かないんじゃなくて…動けなかったんだ!)



ドラコンは怪我をしていた。


すごく大きな傷…


すごく痛そう…。



シエル「……よし!!」



私は急いで家に戻り薬箱を持ってきた。



シエル「んっ…しょ!!」


(体が大きい…よ、よじ登れるかな…?)



シエル「…待っててね!今!助けるから!」


(こ、根性を見せるのよ!シエル!ふんす!!)



私は気合いをいれる。



何とか気合いでよじ登り傷薬を塗りたくる。



シエル「人用のだけど…ドラゴンに効くのかなぁ…?」



ぬりぬり…。



シエル「…………。」


(まるで大きな壁にペンキを塗りたくるみたい。)



シエル「んしょ…んしょっ!」



数時間後…



シエル「お、終わったぁ…。」



ばたっ…



地面に倒れる。



シエル「はぁ…はぁ…。大きな患者さんだよまったくー!」



龍「…………っ……。」


(ん……。アタシ…寝てたのかしら…。ん?傷口になにか変なのが塗ってあるのか?)



周囲に目をやると一人の人間が倒れていた。


しかしそいつはアタシが起きると飛び上がるように起きてこちらに尋ねてきた。



シエル「あ!起きた!どう?傷口マシになった?」



龍「これは…お前がしたのか?」



シエル「そうだよ!大きな患者さん!」



リューコ「…そうか。変わった人間だ。」



それが…リューコちゃんとの出会い。


私の最初で最後に初めての親友だった。



-約束の日-



リューコはその日


 


シエルと約束をしていた。


一緒に遊ぶ約束。



人の姿に変身する。



リューコ「やってみればできるものね。なかなかいいんじゃない?」


(なぜこんなにもウキウキが止まらないの?リューコは楽しみだから?楽しいんだ…リューコは…。)



リューコ「早く会いたいな…。シエルに…。」



そんなリューコの前に父が立ちふさがる。



そして…私は…リューコは…。



-龍-



シエル「今日はリューコちゃんがうちに来る!すごく楽しみ!なにして遊ぼうかな!わくわくする!リューコちゃん迎えにいった方がいいかな!」



私はいてもたってもいられず。


リューコちゃんがいる森へと足を運ぶ。



でも…外に出たとたん。


私はその光景に息をのんだ。



冷たい空気


視界は氷の世界。


町は全てが凍っていた。



シエル「え…。これって…。」



チラつく脳裏。



リューコ「シエル」



シエル「違う!リューコちゃんがこんなことするわけがない!!」


(そんなことを…一瞬でも考えてしまった…最低だ…)



それは…非情で最低で最悪な現実を私に突きつけた。



リューコ「う…”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!!」



ただならぬ咆哮をあげる一匹の龍。



シエル「……嘘…。」


(あれは………。間違えない………。そんな……。リュー…コ…ちゃん………。)



ギラリとこちらを見つめて口を大きくあけ…。



?「シエル!!!!!!」



ドンッ!!


私は誰かに背中を強く押され倒れこんだ。



シエル「いっ……。はっ…!?」



突き飛ばされた方を見ると…目を疑った。



シエル「お父さん…。」



お父さんが氷付けになっている。


次の瞬間…。



ピキ…



ガラスのようにくだけ散り


血しぶきが白い氷の地面にじんわりと滲んでゆく。



ブシャアアアア!!!



シエル「お父…さん…。いゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」



リューコ「ぐ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!!」



シエル「リュー…コちゃん…どうして…。どうして!!!」



リューコ「我は殺す…我が名は絶氷龍クリスタルブリザードドラゴン。この世界を滅ぼす龍。貴様ら下等な存在は不要だ!消えろ!!!!!!!!」



シエル「……っ……。」


再び2撃目がくる…。



私の体は無意識に動いていた。



シエル「…っ!!!」



ひたすらに走り続けた。


リューコちゃんはその後も容赦なく攻撃してくる。


でも…走る。


走り続けて私が今リューコちゃんに出来ることを考えるんだ。



シエル「ねぇ…?リューコちゃん…。私が知ってるリューコちゃんはね…?可愛くて、優しくて、面白くて、一緒にいると楽しくて。」



ヒョオオオオオオ!!!



シエル「きゃあああ!!!…まだ!!」



リューコ「ーーーーーーーーーーーーッ!!!」



声にならない声で苦しそうだ。



シエル「リューコちゃんと出会えてなかったら…私こんなにも幸せな日々を送れなかったの。……っ!?う…」



ドドドドッ!!



シエル「………っせめて…最後…っくらい!リューコちゃんにお礼言いたくて…っリューコちゃん…。ねぇ…今のあなたはもう一人のリューコちゃんなんだよね。」



リューコ「ーーーーーーッ!!!」



シエル「わかるよ…。親友なんだもん。」



リューコ「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」



シエル「…そうだよね…。やっぱり…そこに…いるんだね…。」


(泣いてる。リューコちゃんが苦しんでる。助けなきゃならないのに…私はなにも出来ない。けど…私はだからこそ!)



ぎり…


歯を食いしばる


今までにこんなにも本気になれたのは…リューコちゃんが初めてだな…。


親友のために最後までこの声を届ける。


たった一人の親友のために。


私は叫び続ける。


ありったけの声を。


叫んだ。


叫んで叫び続けた。


喉がつぶれる。


潰れても私は!!!



シエル「私は!リューコちゃんの親友だ!!!」



-闇の底-



リューコ「……………」


(リューコは…。一体…。暗い闇のなかリューコは漂う。)



こぽぽ…



海に沈むみたいだ。



リューコ「……………っ」


(なんだ…くるしい…熱い。痛い…胸がくるしい。燃えるような怒り。煮えたぎるような憎悪。狂うような殺意。頭がおかしくなりそうだ。)



リューコ「やめろ!リューコの体は…リューコのだああああああああああああああああ!!!!」



シュルルルル…


ガチャンガチャン!!



リューコ「んっぐぅ!!!」



黒いモヤのような鎖で体を拘束されその鎖から焼けるような熱が伝わる。



リューコ「ん”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ””ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!!」


(あ、熱い!痛い痛い痛い痛い痛い!!!)



リューコ「いっ”あ”あ”あ”あ”あ””ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!!」



記憶が…流れてくる…



リューコ「な、なんなんだこれ…リューコは…シエルと…。」



シエル「…り…ゅ……こ…ちゃん!!!」



声が…聞こえる…。



シエルの声だ!



リューコ「シエル!!!シエル!!!」



暗闇で呼び続ける声にリューコも応える。



リューコ「シエル!!!リューコは!ここだ!!!シエル!!!!」



ギリリリ…


ガチャン!


ガチャン!!



リューコ「あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!」



絡まる鎖を引きちぎる。



ガチャン!!!!



リューコ「シエル!!!!!」


(行かなきゃ!行かないと!シエル!シエル!!!)



闇の中死に者狂いで走り続ける。



リューコ「はっ!はっ!!…」



シュルルルル…


シュルルルル…


ガチャン!ガチャン!ガチャン!!!



何度も何度も鎖に繋がれる。



リューコ「ふざ…けるっ…なああああああああ!!!」



ガチャンガチャンガチャンガチャン!!!



肉が引きちぎれそうだ


関係ない!


そんなのは…関係ないんだ!!



リューコ「リューコは!!友達に会いたいんだ!お前(龍の血)に会いたいんじゃない!」



リューコ「んっぐっっ!!あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!」



ガチャン!…



リューコ「…邪魔を…」



ガチャン!ガチャン!ガチャン!ガチャン!


次々に引きちぎる。



リューコ「するなあああああ!!!」



ガチャン!!!



私は振り切った。


でも…光の先に見えたのは…。



絶望そのものだった。



辿り着いた終着点。


私の手は人の…血で汚れていた。



リューコ「………なに…これ………。」


(嘘だ…嘘だ…。)



私の目にうつったのは…。真っ赤に染まった街と目の前で片腕をなくしたシエルがその場で倒れていた。



リューコ「……え…」



リューコ「………っ……。」



人の姿に戻りすぐにシエルのもとへ向う。



リューコ「はぁっ!…はぁっ!…」



私はおぼつかない足で何度もつまづきながら必死に支えるに駆け寄った。



リューコ「シ……エル……。」



見てもう…わかってしまう。


ぐったりと倒れもう助からない。


出血が酷い上に体の殆どがボロボロだった。


それでもシエルは口元をぱくぱくと動かせ何かを私に伝えようとしてきた。



シエル「…………っ」


(お、かえ、…り。リュー……コ…ちゃ………。)



リューコ「シエル…声が…。」



シエル「…………っ…。」


(だい……じょう……っぶ……。)



どこか安心そうにリューコの腕に抱かれる。



ギュッ…


微かに体温が下がっていくのがわかる。



リューコ「リュー……コは…っ…なんてことを…っ…。」



ボロボロと溢れ出す涙がシエルの顔を濡らしていく。


するとシエルは右手をゆっくりとリューコの頬に手をやる。



シエル「…………っ……。」


(泣かないで…。リュー…コちゃ……。)



リューコ「むりだよ…っ…シエル…。リューコは…リューコは……っ……。」



シエル「……………っ…」


(リュー…コ…ちゃ……私はずっと…信じてる。)



リューコ「……しえ…っ…る…」



シエル「…………っ…。」


(次に会えたら……また遊ぼ…?……ね…?)



シエルはリューコを安心させようと微笑む。



リューコ「もちろんだ…っ…もちろんだ!!!約束する…!!必ずまた会おうね!」



シエル「………………っ…………。」


(ふふ……やく…そ…く…………っ……。)



震える小指に絡ませる。


それを見届けて安心したのか、シエルはゆっくりと目をとじ、息を引き取った…。



リューコ「………………………。」



リューコ「……………。」



リューコ「………。」



ヒョオオオオオオ…



リューコ「リューコは…。そっち(天国)には行けないよ。」


(シエル…。だから……。どうか…。どうか…。せめて向こう(天国)で幸せに…。)



リューコはシエルを優しく抱き締めた後、その身が腐らぬようにシエルの遺体を氷漬けにした。



その直後。


再び…。



どくん…っ



リューコ「……いいわ…。もう…。」



リューコは…龍として世界を滅ぼす。



リューコを好きに使いなさいよ。


もう…この道(殺し)しか残されちゃいないのだから。



身を委ねる…。



絶氷龍「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」



リューコは…龍になる。



さようなら…シエル。



白き翼を羽ばたかせ、飛び立つ世界をおおうほどの広範囲吹雪。


すべての生き物たちは凍てつき生き絶える。


リューコは独り。


孤独に眠る。


誰でもいい…終わらせて…。



-そして…こいつが私の前に立つ-



ヒョオオオオオオ!!!



リューコ「リューコは!!お前を殺し続ける!!」



ファウスト「それが答えなら…ボクもなおさら引き下がれない!!」



リューコ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」



ファウスト「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!」



互いににらみ合い一斉に動き出す。


何千何万死んだ回数というギネスがあるのなら…。


間違えなくボクは一位だろう。



「いい加減に!!!!諦めろ!!!!


偽善者が”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!!」



凍りブレスからの尻尾叩き落とし。


凍らされた上で叩き潰される。 



グチャ!パリィン!!!



ボクは何度も蘇る。


この心が折れない限り。



ファウスト「…………っはぁ…はぁ…」



リューコ「………っ………。」


(はぁ…どれだけ戦った…どれだけ殺した…。リューコは……。まだ………。視界が…。力を使いすぎたか…。)



リューコは少しふらつき始める。



ファウスト「ぼ…ボクの……か、勝ちだ…。」



リューコ「リューコは…まだ負けて…な……い…。」



スッとボクは彼女の額に触れる。



リューコ「………………くそ………。」


(なんだ…この…感じ…。懐かしい…ような…あたたかいような…。)



龍はゆっくりと瞳をとじ眠る。



-再会-



リューコ「…リューコは…負けたの?あんなやつに…負けた…。」



リューコ「シエル…。ごめんなさい…。リューコは…。」



?「いつまで引きずるの?」



リューコ「え?」



その声に聞き覚えがある。


いや…忘れるはずがない。


忘れちゃいけない声なんだ。



リューコ「シエル!」



シエル「はーい?」



シエルがいる。


どうして…?



シエル「あ、今なんで私がいるの?!なんで?!死んじゃったはずなのにー!?なんて…思ってるでしょ?」



リューコ「え、あ、…え…。」



シエル「まぁ!落ち着きなよ!とりあえずね。ゆっくり説明したげるから。落ち着いて?…ね?」



シエルはリューコを優しく抱き締め頭を撫でてくれた。



瞬間に涙が止まらなくなった。


声がでない。



リューコ「っ…!…っ…。」



また会えるなんて想いもしなかった。


これが夢なのはわかる。


でもいい。


今はこの時間が続いてほしかった。


ただリューコは伝えなきゃ…


謝らないと…。



リューコ「シエル…リューコはっ!」



シエル「大丈夫。…大丈夫だから…。リューコちゃんは…もう十分苦しんだよ。もうこれ以上…苦しまないで。独りで背負わないで。」



シエルは私なんかよりもずっと大人で…私に姉がいたなら…きっとこんな感じなんだろう…。


見透かしてたように私の気持ちもくんでくれる。


優しくてあったかい…。


だからこそ…言わないと…。



リューコ「シ…エルっ………っ…ごめ…ごめんなさいっ…ごめんなさい……っ…リュー…コは…ったくさん殺して…シエルの幸せを…奪って……踏みにじって……。」



シエル「リューコちゃんは。私の初めてできた親友なんだよ…?森で倒れていたあなたを見て私は最初は怖くてでもほっとけなくて。気がついたら動いてた。きっとね…こうなることは決まっていたんだと思うんだ。仕方ないことだよ。」



リューコ「…シエル…。」



シエル「私はリューコちゃんが大好き。今でも変わらないし。私は死んじゃったけど…。でもね…?後悔してないよ?この気持ちだけは変わらないんだ。だってあの時ちゃんと声が届いたじゃん。あの時…。」



シエル「リューコちゃん!!!!」



暗闇の中でもはっきりと聞こえたシエルの声。



リューコ「あの時…。うん…聞こえたよ…でも…リューコは間に合わなかった…。」



シエル「そんなことないよ。ちゃんと来てくれたじゃん。抱き締めてくれた。それだけで十分なんだ。だって私の幸せはリューコちゃんといられる時間だったんだから。」



リューコ「…っ………くっ…っぅ………。」



シエル「今まで辛い思いをさせてごめんね。リューコちゃん。」



2000年間…その言葉をリューコは待っていたのかもしれない。


許しを。


大好きで大切な友の許しを。


シエルの胸に抱かれながら泣き叫んだ。


喉がからからになるまで。


シエルはただ優しく包み込むように抱き締めてくれた。



-可能性-



リューコ「……いまだに信じられない…。これが夢だって…。」



シエル「私もだよ。この空間はあの白いローブの人の力?能力?よくわかんない…。私は確かに死んでてほんとなら意識ごと消失してるはずらしいんだけど。」



ファウスト「ちょいとお邪魔するよ。お二人さん。」



リューコ「な、なんであんたがいるのよ…。」



ファウスト「さっきシエルさんが言った通りだからだよ。この空間は夢じゃなくてボクの空間だからね。君の体はあの世界にはない。というのも…君がここにいる。それが答えだよ。」



シエル「連れ出した?ってこと?」



ファウスト「そうだね。シエルさんは賢いね。」



リューコ「…………。」



ファウスト「勝負はボクの勝ちだからね。」



リューコ「調子に乗らないでよね!!負けてやったのよ!…だいたい!なんなのよ!何回も生き返るって!!!あんたほんと何者なのよ!!!」



シエル「ま、まぁまぁっ!リューコちゃん!落ち着いてっ!」



リューコ「シエル…。わ、わかったわよ…命拾いしたわね!!」



ファウスト「それだけ元気そうなら安心だよ。じゃ…本題に入ろう。」



リューコ「本題…ね。あんたが言ってた使命とやらに力を貸せばいいの?」



ファウスト「そうだ。それと君には幸せになってもらいたいんだ。」



リューコ「またその話…リューコには…。」



シエル「リューコちゃん。私からもお願い。リューコちゃんにそんな道があるなら私は幸せになってほしいな。」



リューコ「じゃあ…シエルも!!!」



シエル「私はいけないよ。私の体はとっくに死んでしまっている。自分でもわかるの。」



リューコ「そんな…。ねぇ!あんた!凄いやつなんでしょ!なんとかならないの!!?ほら!奇跡のなんとかみたいなの!無いの!?」



ファウスト「………。」



「そんな…。シエルがいないなら私の幸せにも意味がない!!!」



シエル「リューコちゃん…。」



リューコ「なら…リューコも動かない!!!シエルがいなきゃダメなの!!」



ファウスト「リューコさん。はっきり言おう。リューコさんは特異点なんだ。選ばれた者なんだ…。シエルさんにはそれがないんだ。」



リューコ「それって…その特異点だったらいいってこと?」



ファウスト「そうだね…。」



リューコ「どうやって決まるのか教えなさい!」



ファウスト「それはボクにもわからないんだ。ただ…わかるのは特別な力を持つ者くらい。」



リューコ「リューコの…特別な…力…。じゃあ!リューコの力をシエルに!」



ファウスト「それだと…シエルさんは龍の力に体が耐えきれず死んでしまう。現段階ではシエルさんを特異点にすることは不可能だ。」



-王冠に眠る親友-



リューコは暗い表情を浮かべる


ローブのそいつはに向かって言った。



リューコ「アンタ…名前は。」



ファウスト「……ファウスト。」



リューコ「ファウスト…。もしもアンタの使命終わらせたらリューコの願い一つ叶えなさい。」



ファウスト「………どんな願いだ。」



リューコ「決まってるわ。シエルの復活よ。」



ファウスト「…いやだから!…ん…待てよ…。」



リューコ「なによ!なにか方法があるって言うの!?」



シエル「リューコちゃん私は…」



リューコ「うるさい!!!シエルは黙って!!」



シエル「…………。」



リューコ「…どれだけ…待ったと思ってるのよ…。本来のシエルは死んでる…リューコがこの手で…。殺した。でも…シエルは…今、こうしてリューコの前にいる。シエルの存在がリューコにとってどれだけ大切か!わからないでしょ!!」



シエル「そんなの…私だって…っ!」



リューコ「…約束したじゃない。」



シエル「え…。」



リューコ「また一緒にあそぼって言ったじゃない?」



シエル「…あ………。」



リューコ「覚えてるわよ…親友なんだから。」



シエル「リューコちゃん…っ…。」



リューコ「シエル。」



シエル「リューコちゃ…っ!?」



がばっ!



リューコ「シエルっ……っ……。ごめんね………っ……ごめんね…っ…。」



リューコはシエルにすがるように抱きついていた。


感情を押し殺そうと必死だったけど…溢れている…。


泣きじゃくるリューコちゃんを私は…ただただ優しく抱き締める。



シエル「大好きだよ…リューコちゃん…。ありがとう。」



ファウスト「一つだけ可能性がある。シエルさんを復活させる方法。」



シエル「え…ほんと…で…」



リューコ「ふんっ!!」



べしん!!



ファウスト「ぐあっ!?」



リューコ「最初から言いなさいよ。殺すわよ。」



リューコちゃんは相当お怒りだったようで自分の…尻尾でファウストさんをひっぱたいてました。



ファウスト「あ、は…はい…。ごめんなさい…。」



リューコ「で?」



ファウスト「で?」



リューコ「で?じゃないでしょ!」



ファウスト「わ、わかったよ!あ、…シエルさん」



シエル「はい。」



ファウスト「リューコさんと一緒にいたい?」



シエル「はい!」



ファウスト「…君の復活がいつになるかわからない。でも、ここに眠ることで自然エネルギーを蓄え、君という存在が覚醒し新たな姿で生まれ変わるができるはずだ。」



リューコ「…眠る?」



ファウスト「ああ。つまりは…魂の封印だ。」



シエル「……魂の…封印。」



ファウスト「その名の通り。魂を封じ込める。それがどうゆうことかわかるね?」



シエル「……覚悟はできてます。」



ファウスト「……。そうか。覚醒は感覚でわかるはずだ。知識もなんとなくは感じれるだろう。ただし…いつになるかわからないから。そこだけは強く意識をもってくれ。」



シエル「わかりました。」



私は王冠へ目を向ける。



リューコ「…シエル…。」



リューコちゃんは心配そうにこちらを向いている。


私はリューコちゃんを抱きしめる。



ぎゅ…



シエル「…リューコちゃん…。大好きだよ。」



リューコ「…シエル…っ……ぅう…。」



シエル「別れじゃなくて…始まりなのよ。きっと…。」



リューコ「……始まり…?」



シエル「これから私はあの王冠に封印されちゃうけど…あの王冠はリューコちゃんにつけてほしいな。それでね?いっぱい冒険するの。思い出もたくさん!私はずっとそばにいるから。リューコちゃんはリューコちゃんで楽しんで行こうね。」



リューコ「……うん…。」



シエル「…リューコちゃん。行ってきます!」



リューコ「…シエル…」



シエル「…リューコちゃん!」



光り輝くシエルは私にVサインをしながら言った。



シエル「私は!リューコちゃんの親友だ!」



満面の笑みで光り輝くとそれは王冠に吸収されるように消えていった。



リューコ「……シエル。」



ファウスト「……この王冠は想いの力が反映もしたりするんだ。だから、きっと大丈夫だよ。」



リューコ「………ありがとう。」



ファウスト「…なにも…出来てないよ。」



悲しそうな目をしていた。



ファウスト「…さ!じゃあ…リューコさん。世界の崩壊を。ボクの使命を手伝ってくれ。」



こうして…私はファウストと手を組む。


異空間へ転移するゲートというところを渡り私は黒上いぬこというやつがいる世界に飛び込んだ。


これは…私がシエルと幸せになるための物語。


ここから始まるんだ。


シエルを絶対に復活させて。


それできっと…


また2人で笑い会える日を願って。



リューコ「じゃあ…いくわよ…シエル。」


私は王冠に優しく触れる。


意を決して茂みから飛び出す!


ガサガサ!


バサッ!



いぬこ「な、なに!?」



リューコ「アンタが黒上いぬこね!!」



いぬこ「え?私の名前!?貴方は…?」



リューコ「…リューコはリューコよ!!あんたと友達になりに来たわ!!」



いぬこ「………なんだこいつ。」



【零却寺プロジェクト】-星の欠片集-



【リューコ記憶接続編】-完-



次回【零却寺プロジェクト】-星の欠片集-



【鬼神椿記憶接続編-ツムギ-】



















コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    シエル (土曜日, 25 5月 2024 23:14)

    リューコちゃん
    ごめんね。
    大好きだよ

  • #2

    リューコ様 (土曜日, 25 5月 2024 23:15)

    絶対に生き返らせてあげるから待ってなさい!!

    あとリューコも
    大好きよ