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毎度おなじみ。
いぬこ宅では、いつもの仲間たちが屯していた。
夏期に入りじわじわと日差しが暑くなり窓を開けるとむわぁ…と熱気が入り込んでくる。
「アンタたちいい加減離れてくれない?」
いぬこ宅ではリューコの冷たい身体に皆くっついていた。
「お前ら良いよなー…わんちゃん俺も女だったら良かったな…」
いぬおは一人手うちわで我慢していた。
「アンタたち、いい加減!暑苦しいわ!離れなさい!!」
渋々いぬこ達はリューコから離れるとその場に溶けるようになっていた。
「にしても…いぬお…今年暑すぎないかな…?」
床にへたばる姉貴を見てパタパタと手うちわで仰ぎ眺めている。
「夏期担当に何かあったんじゃないか?」
「夏様のこと?」
いぬおはダラダラと汗を流しながら話していた。
このままでは暑すぎて皆溶ける。
私達は夏様のいる海中神殿へと向かうのだった。
夏様とは夏期を司どる存在でいぬこたちの世界では夏期を届ける役割をしている。
夏様は時期を迎えると海中神殿ごと海辺に浮上、目を覚ます。
夏様は基本的に夏期のあらゆる物を操作することができる。
そのために温度調節も夏様次第だったりする。
今回海水浴も兼ねての探りを入れに行くのだった。
決して遊びに行くのではなく…あくまでも調査のため生き抜くために。
「おらおら!いくぞ!リューコ!」
「ちょっ!やったわね!!」
調査のために…
「むっふふ!いやぁ…コレが海というやつですかぁ!」
「システィア…ちょっと!どこさわって…」
「えへ…ねぇ様の肌は私が守ります。」
満喫してた。
「お前らアタシに会いに来たんじゃないのか?」
砂浜を踏みしめてこちらに声をかける存在。
「えぇ……姉貴。今回展開早くね?」
「たしかに…何だがすごく早い展開な気がする。久しぶりですね。夏様。」
いぬこが軽く挨拶をすると夏はニカッと悪びれもなく友好的に返してくれる。
いぬこが夏様に対して単刀直入に問いを投げた。
「夏様。今年の夏期の気温は異常だと思うんですが…なにか心当たりはありませんか?」
「まぁ…そうだな。色々あってな。」
夏様は苦笑いで誤魔化そうとする。
「理由は?」
「そう簡単に話すと思うか?」
どうやら力ずくでとの事なので勝負をすることに…。
リューコ達を集めて夏様との勝負に挑むのであった。
「アイツなんかリューコと似てね?」
「は?どこが…」
「耳とか尻尾とか。」
「うわ…ホントだ…なんか変な闘争心出てきたわ。」
夏様に案内され場所は海中神殿。
現在は浮上しているため海中にはない。
海中神殿は神殿なだけありなかなかの広さだ。
どういう原理か分からないが神秘的なのは変わりない。
ここだけ世界観がガラリと変わる。
神殿内の大広間の中心で立ち止まり神殿内にいた者たちを集めた。
「じゃあ…早速だけど、この子と遊んであげてよ。」
そういうと夏様の背後からその子は姿を見せた。
その容姿からは幼く見える。
夏様の様に魚の尻尾が生えており、ギザギザとした歯をチラつかせる。
女の子はこちらに寄ってきて挨拶する。
「初めまして!陸の人!私の名前はアトラス!夏様に頼んで貴方達を呼んでもらったの!」
ニコニコと嬉しそうにはしゃぐアトラスはとても可愛かった。
「なるほどな…」
いぬおが何かを悟ったように理解する。
「夏様優しいじゃん。」
「気まぐれだ気まぐれ。」
「???」
いぬおと夏様の世界になっていた。
いぬおがポカーンとしている皆でに説明する。
夏様は日差しを操り、海にわざと誘導した。
その理由はアトラスだ。
「アトラスの為にしたんだろ?夏様。」
「その答えはアトラスと遊んでからだ。」
夏様は神殿の玉座にいつの間にか座っていた。
「上から目線でリューコ…アイツ…ムカつくんだけど…。いいわ…リューコが相手してあげる。」
リューコが前に出るとアトラスはキャキャとはしゃぎ喜んだ。
「ねぇ!お姉ちゃん!お姉ちゃんは…海は好き?」
「まぁ…どうかしら…リューコは最強(ドラゴン)だからこんな場所とは縁がなかったからわからないわ。」
「じゃあ…海のこと教えてあげる。」
ニコッと無邪気な笑顔を向けたその時だった。
神殿内に侵入してくる大量の海水。
「へぇ…アンタ。海を操る感じ?」
「アンタじゃなくて…アトラスだよ。お姉ちゃん。」
2人の闘争心(スイッチ)が入ったようだ。
神殿はあっという間に海水で包まれそうだったが、リューコには全く意味がない。
全て凍らせた。
「凄い…」
アトラスは驚いていた。
「凍らせたら勝ちってわけじゃないよ。」
「そうね。アトラスだっけ。アンタを氷漬けにしてやるわ。覚悟しなさい。」
「やれるものならね!じゃ!いっくよ!!やぁあああ!!!」
凍りついた海水が海水に戻ると形を変えてリューコに襲い掛かる。
ドリルのように神殿内を貫き下から海水が流れ込む。
「アトラス。アンタ海流を操る能力なのね?」
「せいかーい。お姉ちゃん賢いね。でもわかった所で…っ!?」
リューコの目の前でアトラスの攻撃は止まる。
「戦闘経験がなさすぎよ。少し反省しなさい。リューコはね。絶氷龍なの。最強(ドラゴン)だから容赦もしない。」
リューコの周囲は凍てついていた。
アトラスの動きはかなり鈍くなっており、手足が悴んで感覚がないほどに凍っていた。
「あ…あれ…?いつの間に…。」
リューコが動けなくなったアトラスの額に人差し指をちょんと当てる。
満面の笑みで唱えた。
「ゼロ・アブソリュート(完全凍結)」
アトラスは完全に戦闘不能になり夏様は苦笑いで玉座から降りてくる。
「いやぁ…素晴らしい。アトラスも喜んでいたと思う。ありがとう。リューコ。」
「そうゆうの良いから。アンタにも反省してもらうわよ。」
リューコが戦闘態勢に入ろうとした瞬間いぬこが止めに入る。
「ちょ!いぬこ!はなして!」
「リューコ!落ち着いて!ステイ!ステイ!」
「何がステイよ!私は犬じゃないわ!最強(ドラゴン)よ!!」
リューコをいぬおに預け、夏様に駆け寄るいぬこ。
「結局、夏様何がしたかったんですか?」
「まぁ…簡単に言えばアトラスの友達になってやってほしかったんだ。」
夏様は事情を話した。
アトラスというあの少女はかなり好戦的で海でも幾多の種族がいる。
その中で彼女は高い能力の種族に生まれた。
見た目とは違い初めてあった海の仲間と戦うことで仲良くなろうとした。
けどアトラスは加減がわからず次第に一人になってしまった。アトラスと出会ったのは最近だと言う。
夏様と出会ったアトラスは自分でも敵わない壊れない嫌われない存在を見つけたと判断。
海中神殿は本来は夏様が管理する場所だがアトラスは気に入ったのか入り浸っているらしい。
しばらくはニコニコとしていたが時おり見せる寂しそうな退屈そうなアトラスを見るとなんとも言えない状態だった。
夏様は考えて思いついたのが気温を上げて海辺に陸の者達を呼び寄せアトラスと渡り合える友達作りの場所を作るために今回の異常気温を起こしたということだった。
夏様はすべてを話すと少し申し訳無さそうに頭を下げた。
「すまなかったな。」
「そうだったんだ…。」
アトラスはまだ氷漬けだったがいぬこはリューコに解除するようにお願いする。
「リューコはつかれたから遊ばないわよ。」
「うん。大丈夫。リューコは少し休んで。」
リューコは仕方無しにアトラスの氷を解いた。
アトラスはぽかんと口を開けたまま立ち尽くしてた。
「負けちゃった…でも楽しかった」
アトラスは呆れたリューコの方向へ駆け寄るとペコリとお辞儀をした後満面の笑みで感謝を伝えた。
「お姉ちゃん!遊んでくれてありがとう!」
リューコは照れくさそうにそっぽを向きながら返答する。
「仕方ないから時々この場所に来てあげるわ。」
アトラスはその返答に大喜び。
「約束だよ!」
リューコは振り返らずに休憩できる場所へと去っていった。
その後はというと、いぬこ達体力が残ってる組がアトラスと遊んだ。
アトラスの喜んだ顔を見ると自然と皆の顔に笑顔が生まれた。
「はぁ…つ、疲れた…」
気がつけばいつの間にか夕暮れ。
お腹も空いてきた頃だ。
ぐぅ〜と腹の虫が鳴き叫んでいた。
すると、夏様が大量の海の幸をこちらに運んできた。
「ほらよ。これから、皆でバーベキューだ。」
「うっわ…まじかよ!」
いぬおは目を輝かせながら用意された食材に見惚れていた。
「まぁ…色々詫びだ。良ければ食べてくれ。」
「なっちゃん!私も食べて良い?」
アトラスが夏様に駆け寄ると夏様は娘を見るように優しげな表情で首を縦に振る。
「当然だろう。」
その日の夜バーベキューも終わり、夏様とアトラスと別れ、いぬこ達は無事に帰路につく。
いぬこ宅に着くとそれぞれが疲れ果てたのか各部屋で爆睡するのだった。
「アトラス。今日は楽しかったか?」
月明かりが照らす海中神殿アトラスと夏は海を眺めていた。
「うん!すごく!楽しかった!また遊んでくれるかな?」
「大丈夫だろう。あいつらは良い奴らだ。いい友達になれる。」
「なっちゃん!ありがとう!」
「その呼び方は2人だけのときにしろよな?」
「なんで?」
「…恥ずかしいからだ!」
「へんなのー!」
こんな感じで夏期到来事変は解決したかに思えたが再び夏期での異変は数日もしないうちに起こってしまうのだった。
次はどのような異変なのか。
いぬこ達は夢の中である。
END
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