【縛られなかった世界線リューコ】

【縛られなかった世界】


私の名前はリューコ。

私はこの星ブリューナクで生まれ絶氷龍として生きている。

私は人間と関わるために生みの親である絶氷龍を殺した。

私は歴代最強の父上を殺し私が最強となった。

私は…絶氷龍としての力の制御が完璧にできた個体。

故に縛られるものがない。

私は…人間を観察し続け人間に姿を変え人間の世界に紛れ潜んだ。

街中は平凡で悪くない場所だった。

夕方になり太陽が沈む頃。

一人の人間の少女が同い年くらいの少年少女に集団で石をぶつけられていた。

額からは少量だが血が流れていた。


「おい。お前ら何している。」


無意識に体が動いていた。

本来傍観するようにしていたのだが、何故だろうか?

この少女への仕打ちを目に入れた途端に、腹の中が熱くなり胸が締め付けられるようでとても不快に感じたのだ。本当にわけがわからない。


「なんだ!お前!邪魔すんなよ!」


人間ごとき、しかも、ガキ風情が絶氷龍である私に向かっていい度胸だ。食い殺してやろうか。私は軽く殺意の気をガキどもに放つ。するとどうだろう。少女以外のガキの足元は軽く凍てつく。


「ひっ…な、何だコレ!?」


「わからないか?わからないよな。」


クスクスと笑いかける私は追い討ちをかける。


「不愉快なんだよ。一生動けなくなるか、この場から消えるか選べ。」


凍てついた瞳でガキどもを睨めつけると次第に青ざめ始めたガキどもは一斉に逃げたしていったのだった。


「人間も大変ということだな。」


へたり込む少女に手を差し伸べゆっくりと体を起こさせる。


「大丈夫か?お前。」


「大丈夫だよ。ありがとう。」


「…………血が出てる。ちょっと大人しくしてろ。」


私は自身の力の一部の治癒を少女へあてがう。

じわじわと皮膚が収縮し元通りになる。


「これでいい。」


「ねぇ…?貴方は誰なの?なんで…私を?」


「別にいいだろ。」


「いや…でも…だって!わかんなくて…私あなたのこと知りたいの!」


食い気味になった少女の名は…


「シエル・リズアット」


薬屋の娘らしい。

さて、どれくらいだっただろうか?


「リューコちゃん!そっちにあったー?」


「えー?これか!?」


「リューコちゃん!何遊んでるのー!」


数年後

シエルと私は各地を転々とし一緒に薬屋を経営。

そして現在は素材集めをしている所と言うわけだ。


END