【自我が芽生えなかった世界線】

【自我が芽生えなかった世界線】


私は創造主の為に創造された存在。

私は創造主の成すべきことに疑問を持ってはならない。


「システィ地上に向かいここの人間どもを一人残らず殺せ。」


「創造主の御心のままに。」


私は言われた通りに地上の民を殺していく。

人間たちは私を見るやいなやこう言い放つ。


「化け物!悪魔!人殺し!」


人間の赤い血が飛び散る。

ただ機械的に殺していく。

これは創造主様が命じてくださった役目なのだから。

こなして当たり前。

全てを終わらせて神界へ戻る。

創造主は私を褒めてくれた。


「ご苦労であった。流石私が創ったモノだ。」


「次はどうすればいいでしょうか?何なりとご命令くださいませ。」


その後も何度も何度も。

私は殺していく。

創造主の命令は絶対なのだから。


「次はいかがなさいましょう?創造主様。」


創造主はつまらなさそうだ。


「システィよ。おまえは私が死ねと申すとその命は喜んで私に捧げるか?」


無論だった。

私は即答する。


「はい。」


「……………。そうか。」


更にそれから数百年が経過する。


「創造主様。次のご命令を。」


「システィ。こいつと手合わせしてもらいたい。」


「こいつとは…?」


その瞬間右半身に強い殺気と衝撃が襲ってきた。

勢いよく吹き飛ばされ私は神界、神の祭壇の壁際にめり込む、起き上がろうとするが、追撃はもう目の前に来ていた。首を捕まれふたたび創造主が鎮座する場所まで引っ張られる。私は意識が飛びそうだ。


「はっはっは!どうだシスティ。お前よりもスペックが高い私の玩具2号機。そうだな…名はシスティア。お前の次の代行だ。」


「シス…ティア…?」


システィアは私を虚ろな目で見つめている。


「はじめまして。システィ。そして…」


本能的に防御態勢に入りシスティアの懐に深く蹴りを入れシスティアから逃れることに成功した。


「システィ。お前が残りたいならばシスティアを破壊しろ。」


わからない。その命令は私にはわからない。私はどうしたいのだろう?


「システィ。ずいぶんと余裕ですね。貴方はもう不要だと神様は言っているんです。だからここで死ぬことが神様の願いになるのです。」


「………そうですね。わかりました。では…システィア。後は任せましたよ。」


「………さよなら。姉様。」


私はシスティアに敗北した。