『燃えよその玉シィ』
「しかし…まぁ…姉様も姉様ですです…。あのウサギのどこがいいんでしょうかね?」
「ツキノはいい子だよ。ツキノは転生してきて直ぐに私といぬおを助けてくれた。まだ知り合ってもいないのに。」
私は軽くツキノとの出会いをシスティアに語る。
「ふーん。それで?」
「システィがこっちに来たときも率先して一緒にいたのがツキノだったの。」
システィがこちらに来たとき、私達と知り合ったあと慣れないことが沢山ありすぎて落ち込んでいたシスティを気遣うようにツキノは側にいた。
『システィ!』
『………。なによ。』
『システィはどんな場所から来たのですか?』
二人は適度な距離で次第に仲良くなった。
「そうでしたか。流石ヒーローというやつですね。」
呆れたような表情で少し笑みがこぼれるシスティア。
気分が良くなったのか先程の不服そうな表情が消えていた。
「おーい。いぬこー?システィアー?」
椿がこちらに手を振り近づいてくる。
「椿?どうしたの?」
「いや…見かけたから手を振っただけだ。…それより珍しい組み合わせだな?ふたりとも。」
「部屋でシスティが寝てるツキノの様子をみてるから邪魔しちゃ悪いと思って…システィアと散歩してたの。」
椿は状況を把握し、二人を遊びに誘った。
椿に誘われ後をついていくと運動の間と記されている場所へ着いた。
そこには大きな卓球台が存在し先客が火花を散らし戦闘を繰り広げていた。
『行くわよ!はあああ!!』
スパコーン!!と勢いよく玉を弾くそれを受け返す。
『あまいですよ!!やああ!!』
スパーン!!!
リューコと禍音さんが戦っている。
「すごいね。2人とも…」
「リューコはさっき禍音に負けてる。」
「嘘!?」
「嘘じゃねぇよ。俺が見てたし。」
その後も2人の戦いを観戦するがリューコが再び負けてしまった。
『くっうううっ!!!むかつく!!!』
『惜しかったですね。』
『玉が回転したりするなんて…』
『どうします?もう一度しますか?』
『………少し休憩するわ。…次は絶対に負かすわ。』
『そうですか。じゃあ…僕もお風呂に…』
そう言いかけたときだった。
システィアが待ったかける。
「禍音さん。」
聞き慣れない声に禍音さんは首を傾げて返事をする。
「はい…?貴方は確か…」
「システィアです。私が潰してあげます。」
敵意剥き出しのオーラを察した禍音はそれを返すように戦闘モードに入る。
「なかなかの気配を貴方から感じます。リューコさんも…そうでしたが…御一行全員から恐ろしい程のエネルギー量を感じます。」
「禍音さんも感じるんですね。」
双方が向かい合いいざ戦いの火蓋が落とされ、一方でシスティとツキノのいる和室へ来客が訪れたのだった。
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