『桔梗院文香との出会い』
禍音が秋野大図書館で本をひたすらに読み漁っていた頃。
館の閉館時間。
『毎日毎日、君は勉強熱心だな。』
朝から晩まで飽きずに読み漁っていた禍音は桔梗院に声をかけられた。
『僕はここが好きなんだ。』
『そうか。私もこの場所が好きだ。』
不思議な気持ちだった。
誰かと話したのはいつぶりだろうと思うほどに桔梗院は禍音にとって心を許せる存在だった。気がつけば自身の事も話してしまっていた。
『そうか。そいつ等は馬鹿だな。』
桔梗院は笑ってそう言った。
『気持ち悪い?バカを言え。すごいじゃないか!』
その後も桔梗院は僕の能力をけなすこと無く肯定する、可能性の文を並べたように語り続けた。
『つまりだ!君は君にしか持ち得ない能力を持った人間だ。誇りたまえよ!ばかにするやつはその可能性に気が付けない愚か者だ!!!』
こんなにも心は熱くなるのか?
こんなにも…
『…………っ…。』
僕は嬉しかった。
誰かに認めて欲しかった。
救われた。
友達も、両親も、みんなみんな、僕を怖い目で見ていたあの目とは違う。
優しい瞳。
『おいおい。泣くなよ!あ!そ、そうだ!君!私の助手にならないか!』
小さくてか細い手が差し出される。
『勿論!住み込みでも!かまわないよ!』
不敵な笑みを浮かべ桔梗院は追加で言葉を並べる。
僕がその手を取らないわけなかった。
逆にいいのかこんなことと戸惑いを隠せなかったが、もっと驚いたのが…桔梗院文香の能力。本で得た知識を吸収し自身の能力に変える…はっきり言って化け物だ。それを知ったのは少し先の話。
そんなこんなで僕は桔梗院文香と出会って幸せに暮らせている。
もしも桔梗院に何かあったら何が何でも助ける。
それくらい…僕はこの人に感謝している。
願わくばこの幸せが続くように努力しよう。
END
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