「秋野神社の管理人」
「…………秋様もうそろそろ起きる頃ですよ。」
神社に向かって話しかける黒い着物姿の狐少女が話しかけているが反応がないので呆れた様子でサッサッ…ほうきで神社に散らばる落ち葉を掃除する。
数時間後、
ズズッ…ほっと一息。狐少女はお気に入りの湯呑みにお茶を注いで一口。
「秋様。あたし、頼まれた通りに起こしに来た上に神社の掃除までしてあげたのに…そのまま寝続けるなら「同人誌」もう一緒に買いに行ってあげませんよ。」
「同人誌」の一言で今までおと一つ立てなかった襖から勢いよく飛び出してくる何か。
「それは困ります!!!!」
金髪にオレンジ色の袴衣装に身を包んだ狐少女と背丈は変わらない少女が目の前に現れる。
「ち、ちか…やっと起きたんですか?もう夕方ですよ?秋様。って言うか困りますより先に言う言葉あるんじゃないですか?」
「え…?あ!おはようミヤビちゃん。」
「ええ。おはよ…うじゃないですよ!!」
ミヤビの素早い手刀が秋様の脳天に直撃。
悲鳴が秋野神社全体に響き渡る。
「今まであたしが起こしていたんですが…きこえてなかったんですか?」
「…多分。聞こえてないよ。」
「多分…??」
「あ!うん!ほんと!ほんとですよ!」
「…………。」
目を泳がせているが仕方ない。
これ以上は問い詰めないでおこう。
「わかりました。じゃあ…早速。」
秋様はミヤビの説教がやっと終わったと胸をなでおろしていたがミヤビからの請求書手渡される。
「み、ミヤビちゃ…これ…」
「え?請求書です。」
「へ………??」
「秋様が眠っていた間ここの管理をしていたのはあたしなんですよ?勿論ただじゃないに決まってるじゃないですか?」
青ざめる秋は再び眠る準備を始めようとする。
すかさず、ミヤビの手が秋の肩を掴んで邪悪な笑みで迫っていく。
「払ってくれますよね…?」
「い、いや…あんな額…今の私じゃ…ちょっと力不足かなー…?」
その言葉を聞いたミヤビはスッと秋の大好きな同人誌をチラつかせる。
「はっ!?それは!!?」
「こいつがどうなってもいいのか?払ってもらわないと…」
ボッとミヤビの指先から紫に揺らめく炎が同人誌に向かって…
「は、払います!!!!」
秋様はミヤビに土下座で意思表明を見せた。
炎は消え静かに追い打ちをかけるようにミヤビは秋の耳に囁いた。
「嘘だったら秋様が大事にしてる同人誌コレクション燃やしますからね。」
「………はい…。」
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