【秋野大図書館】#7

「大図書館のバイト」


ついに大図書館でのバイトが始まった。

大図書館の全体図は上層(4F〜7F)中層(1F〜3F)下層(B1F,B2F)最下層(B3F)の4つの層に分けられている。

まず場所把握のために禍音にそれぞれのフロアを案内される。

中層では子ども向けの本多め、上層では大人向けの社会科学、文学等、下層は過激な書斎が保管されているらしいがこのフロアは一般客は基本的に侵入ができない。

侵入するには桔梗院の許可証が必要不可欠となっている。

最後に最下層は禁書庫となっている。

桔梗院の話によれば、最下層の扉を開けた時点で並大抵の存在は魂を狩られてしまう瘴気が漂い超危険な場所と言うことらしい。


場所をだいたい把握した所で早速仕事の内容が禍音から簡単に伝えられる。

中層、上層の貸出や返却などのカウンター対応2人ずつ。中層、上層で本の整理、館内に置く本の選書、フロア内の掃除に3人。

各ペアに分かれて仕事をそれぞれ開始する。


中層で訪れる来館者に戸惑いながらも頑張って受付をこなすいぬことシスティ。

子どもの来館者からは評判は上々。

上層ではシスティアとリューコのペアで受付をしているがご年配の来館者も多数見えるためか世間話に付き合わされているようだ。

初日からはやはり手間取ることが多い慣れるまでまだまだかかりそうだ。

中層フロア内掃除にはいぬおとツキノそれに椿が対応する。

中層から上層は範囲は広いがこの3人ならば余裕と言ったところだろう。

禍音から指示された手順で順に丁寧に掃除をこなしていった。

あっという間に1日が過ぎ初日を難なく終えた。


大浴場は女風呂。


「今日はどうだった?疲れただろう?」


満身創痍のいぬこたちに声をかける桔梗院。


「疲れたよ…でも…楽しかった!」


「そっか…良かったよ。いぬこちゃんみたいな人達が助っ人に来てくれて。」


「そうですか?」


「うんうん!」


初めてのバイトは大成功。

桔梗院からも評価は高く好感触だったらしい。


「それに他の人達も皆しっかりと仕事してくれたしこれはバイト代も弾んで渡さないとだね。」


「それはありがたいですが…まだ1日目ですし。何か悪い気がするなぁ…。」


「いいのいいの!これからもよろひくね!」


「……………?」


「いぬこちゃんって…おっぱいおっきいね。」


「へ?」


桔梗院がずずいと湯船を進みいぬこに這い寄る。

次の瞬間、ふにゅ…と胸を桔梗院に鷲掴み。


「ほぉ…」


「っ…ん!?」


唐突のことだったので、びっくりしてしまい変な声が漏れ出してしまう。


そこへとてつもない勢いでいぬおがお風呂へ飛び込んできた。


「こらあああああああ!!!!姉貴にセクハラするなああああああ!!!!」


「「きゃあああああああ!!!!」」


「「うわあああああああ!!!!」」


「「いぬおのばかあああああ!!!!」」


パシィィィン!!!


「「すみませんでしたあああああ!!!!」」


大浴場で死人が一人。

天井を突き破り星となりていぬおくん。

これぞ湯けむり大事件。


「……男ってさいてー」


「コレばかりは、俺も庇いきれねぇかな…強く生きろよ。いぬお。」


「って言うか…天井…壊しちゃった」


「バイト代から天引き…確実ね。」


「「………はぁ…。」」


その後いぬおくんは大浴場の天井を直す羽目になった。


「なぜ…こんなことに…っ!!くっそぉ!!!」


この日、いぬおには「ブラコン変態地獄耳」という称号が授けられたそうだ。