「秋野大図書館の闇」
大図書館は最下層。
おびただしいほどの邪気が漂っている。
「あーそびーましょ…」
コンコンと扉を叩く。
扉の向こうには館長の桔梗院が立っている。
「やなこった。」
「ここにはお姉ちゃんしか来ない。だからつまらなかったんだけど…最近新しい奴らがここにやってきたみたいじゃない?」
「流石だな。でも…あの子たちには会えないわ。」
「そう…残念。でも、油断しないでね。」
「何を企んでいても、私がこの場所に存在する限りお前はここから出られない。お前は殺しすぎた。」
「ふふふ…ひっどいなー!まだ生きてる人もいるじゃない」
「あれは生きてるとは言わない…抜け殻だ!」
「だって仕方ないじゃない…ゲームで負けちゃったあいつらの結末なんだから。ふひっふひひ!あはははは!!」
「……っ…一生反省してなさい。」
「はーい。」
桔梗院は扉を後にコツ…コツと足音は遠のいて、最下層の内部では怪しげな笑い声で埋め尽くされていた。
「くひひ…今度は負けないぞ桔梗院文香!お前を殺してやる。殺してやるからなぁ!!!きゃはっはっは!!!」
最下層から上層へ戻ると心配そうな表情で禍音が待っていた。
「文香…大丈夫か?」
「大丈夫だ。私を誰だと思ってる?」
「ただのグータラ駄目木兎。」
「おい。仮にも私は君の保護者だぞ!もう少し優しく…」
「家族。」
「え?」
「だから、文香は俺の家族同然なんだからこうやって心配になってずっと待っててやったんだ。大体もう朝近いんだぞ!」
禍音は照れ臭そうにそっぽを向いて話していたが、文香はその姿を見て安堵する。
「家族ね。そうだな。私はお前の姉みたいな感じだな。」
「………面倒すぎる姉だな。」
「なんだと!?」
先程の暗い気持ちが軽くなった気がする文香。
こちらの様子をうかがうように禍音は言葉を切り返す。
「最下層のやつ…ピンピンしてるんだろ。」
「ああ。してる…私の能力の効きが悪いみたいだ。」
「それやべぇんじゃねぇか?」
「……………。」
沈黙もしばらくそこへたまたまトイレに行こうとして何故か文香達にいる大図書館まで通りかかってしまったいぬこがその話を聞いてしまっていた。
「あの…それどう言うことですか?」
声がする方へ振り向く2人は少し驚きつつも冷静をなんとか保った。
「…びっくりした…。なんでいぬこさんがここに?」
「いや…トイレ行こうとしてたら思いっきり迷ってしまって…あはは…。お恥ずかしい…。」
強張っていた2人の表情が和らいで笑みがこぼれる。
「いぬこさんは意外にドジなんだね。あははっ」
「いやぁ…あはは。」
「それで、肝心のようは出せたのか?」
「えっ!?あ、は、はい。」
「ならばよし!」
満足そうに文香はいぬこの下半身の安否を確認した後その場を禍音と共に立ち去ろうとするが、いぬこは待てをかます。
「ちょっと!待ってください!さっきの話!最下層の!」
「………聞いていたのか…。」
観念したかのように事情を話すことになった文香は気が乗らなさそうだった。
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