狛犬神社。

旧アガスティアに出来たまだ信仰浅い神社。

しかしながらそこで巫女として仕事を全うしている若い娘が2人。

2人は姉妹だったそうだ。

狛犬という種族の存在。

姉の名はコマネ。

外見はとっつきにくい感じなのだが意外に人当たりがよく困ってる人間が入ればほっておけないタイプの存在。神社に遊びに来る子ども達ともよく遊んだりととてもいいお姉さんとして人気だ。

巫女の仕事はややサボりがちな部分もあり妹のコマイにはよく叱られることもたびたび。

そんな彼女だが戦闘面ではかなりの実力者で。

最近は邪なる存在が多く確認されてからか夜にコマイと2人見回りに出ていたりする。

妹の名はコマイ。

コマネのような血気盛んとは真逆の癒し系である。

駄目なことはだめ!とちゃんと区別ができている娘。

しかしたまに、子どもにいたずらをされた際には次やったら怒るからね?と優しくしかったそう。子どもたちはそんなコマイの優しさに胸を打たれた者もいて彼女に叱られたいがためにわざと怒られなそうで怒られないいたずらを仕掛けに来るようになったらしい。しらんけど。

巫女としての仕事はしっかりとするタイプで神社の掃除や巫女としての修行に励んだり姉とは違い真面目である。

戦闘面では姉コマネより強い。

その強さはコマイが産まれ持っての素質からなのか。

【霊気】と呼ばれている術や力を使う際に消費するエネルギーが常人の100倍以上ある。

因みに誰しもが力を持っているのではない。

持っていても使われずにそのまま死んでいってしまうことが多い。

人間で例えるなら5%

コマイやコマネのような異種族は10 %

邪なる存在は推定30%以上と思われる。

コマイはそれほどに強い。

なのでコマイの得意とされる戦法は超強力な術による攻撃や結界だったりする。

ごくごく普通の日々が続く中だったがとある日を境に広範囲で人拐いや怪奇事件が多発する事態が発生する。

原因を突き止めるべく狛犬巫女達は行動を開始した。

巫女達は近隣の住民、事件があったとされる場所に向かい手がかりを探す。

怪奇事件なだけあり手がかりがなかなか見つからずにいた。

そんな日々が3日ほど続いた時事件は再び起きてしまう。

近隣の大人こどもがまるまる居なくなっていたのだ。

巫女達は急いで各家々を周り確認するがどこにも誰もいない。

気味が悪すぎる。

血痕の後すら無い。

手がかりが無いのは何故か。

巫女達は嫌な予感を感じていた。


「もう…この辺には恐らくこないだろう。」


「そうだね…。」


「相手は私達を避けて近隣の大人こどもをまるっと拐っていった。」


「完全に私達と戦闘になるのを避けてるってことだよね?」


「恐らく…。だとすれば…次に狙われる場所を早く特定して避難するように誘導しないと…。」


苦虫を噛んだような表情を浮かべる巫女達を気付かれぬように監視する者がいた。

この事件の犯人。

人食い九尾のキューコだ。

元々はさほど力が無い妖狐だったが長い年月をかけて生き化けることを覚えた。

人に化けては男を誑かしては食い物にした。

最近では味をかけるために女、子どもにも手を出すようにした。

やがて妖狐だった彼女は尾が増えた。

一尾、二尾、とうとう九本目が生えると九尾は人身掌握術超強力な洗脳や多種多様な妖術を覚え国を支配した。

狛犬巫女らはここまで力をつけてしまった九尾には手が出せず、大掛かりな結界を各方面に張り九尾の無限のエネルギー供給を断つべくして行動していた。

結界を張り終えた狛犬巫女らは九尾が支配する王宮へと向かう。

九尾に操られているであろう兵士たちを死なない程度に退治していく。

異変に気が付く九尾は傀儡とかした人間の軍勢を狛犬巫女らにぶつけるのだった。


「なんて数…。」


少しばかり身を引きそうになるコマイ。

それを見たコマネはコマイに気合いを入れる。


「大丈夫だ!アタシら二人ならやれる。」


「お姉ちゃん…。」


ニカッと笑うと前方に向かってコマネが先陣を切り駆け出し道を切り開いていく。

コマネのおかげで一直線に道をかけていく。


「おらあああああああ!!!」


吹き飛ぶ人間たちは飛ばされても飛ばされても、這い上がりこちらに迫ってくる。


「くそっ!キリがない!」


「諦めるな!コマイ!!」


「わかってるよ!」


狛犬巫女が全力をつくしやっとの思い出大半は無力化に成功する。


「……っ…はぁ…」


2人は息が上がって苦しそうだ。

するとそこへ、九尾が姿を見せる。


「なかなかに良き余興ですね。」


突然のことで思考が追いつかない。


「あなた達は私の楽園を壊しに来た侵略者。ただでは帰さない。いえ…死んでもらいます。」


不意に放たれる斬撃。

コマイが狙われる。

速すぎる防壁が間に合わない。


「させるか!!!」


コマネが勢いよく斬撃を弾き飛ばす。

斬撃の反動でコマネは壁に打ち付けられる。


「お姉ちゃん!!?」


「よそ見は良くないぞ。悪党。」


再び斬撃が飛んでくるが次はギリギリ結界障壁が間に合う。

余裕は本当にないらしい。

コマネを拾い上げ一時距離を取るコマイ。


「おいかけっこ?いいわ?」


くすくすと笑う九尾をキッとにらめつけるコマイ。

コマネが目を覚ますとコマネの様子が変化していた。

赤い炎と白い炎神々しく逆立つ尻尾。

獅子のようだ。


「コマイ…あたしが時間を稼ぐから。封印結界の準備して。タイミングは任せるわ。」


「わかってる。下手したら死んじゃうかもね。」


「大丈夫だ。アタシ達は負けないよ。」


互いに信頼し合う瞳を向け九尾と対面する。


「やっと本気?」


「ああ。だから…気を抜くと間違えて存在ごと消えるかもだから。覚悟してけよ。」


言葉をかわしたその刹那。

目にも止まらぬスピードでバトルは繰り広げられる。

人間たちでは到底到達できない領域の戦闘。

まるで天災だ。

天には黒雲大地はえぐれ国は崩壊。


「なかなかやるわね。じゃあ…これはどう?」


九尾は分裂を始め9体となる。

対するコマネも式神を召喚。

コマイはコマネに言われた通り封印結界に集中する。

輝く光は一つになると周囲を照らす太陽の如く。


「ほぉ…。切り札か。」


「だったらなんだ?」


「お前らが切り札を使うなら私も使ってやろう。……………ん…。力が…まとまらない。」


「気がついたか?お前の負けだ九尾。」


九尾は自信におかれた状況を理解し逆上する。


「貴様ら…エネルギー源を結界で遮断したな…。」


九尾は一瞬焦ったようにも見えたが目の色を変え、全力で対抗するらしい。


「封印出来るものならしてみなさい。」


「お望み通り。お姉ちゃん!!いくよ!!」


黒雲から日差しが差し込み天をも覆う超巨大結界がその姿を見せる。

九尾は楽しそうに笑ってみせた。


「これは…面白いわ。」


互いに全力をぶつけた。

周囲は吹き飛ぶだろうそう誰もが思っていた。

しかし、勝敗の間際。

九尾の存在はその場にいない。

九尾が立っていたその場には1つの封の御札が落ちていた。

勝敗は狛犬巫女の勝利。

御札を拾い上げ

コマイは安堵の息を吐く。


「はぁー……強かったー………」


「だな…結界で弱体化させてなかったらまじでアタシら死んでた。」


「…ぎりぎりだった…。」


九尾との一件が落ち着き、しばらくが経つ。

多くの命が無くなったこの戦い。

またこのような事件が起こらないことを祈るばかりだ。


「いつか必ずまた取り戻す。必ず…。その時まで私の本体は預けておくことにするわ。ふふふ…」


tobe…continue…。